世界遺産のセラーで造られるミレジムの入りノン・ドサージュのスプマンテ、コントラット・ミレッジマート・パドゼ2014年です。スイスチーズのテット・ド・モワンヌと鶏のシャンパンビネガー煮込みと合わせました。
コンラットについて
コントラット社は1867年にイタリア・ピエモンテで創業。イタリアではじめて瓶内二次発酵(メトド・クラッシコ製法)によるミッレジマート(ヴィンテージ入り)スプマンテを造ったワイナリーです。20世紀初頭にはイギリスやヨーロッパ各国の王室を顧客に抱え、イタリアの高級スプマンテメーカーとして広く知られていました。2007年からは、ピエモンテのスターワイナリーのひとつ、ラ・スピネッタのオーナーにして醸造責任者ジョルジョ・リヴェッティ氏がスプマンテ造りに携わるようになり、2011年には同氏がコントラットのオーナーとなり、高品質なスプマンテを生み出し注目を集めています。
ピエモンテのカネッリという村の丘の地下32mに大理石をくりぬいて造った5000平方メートルものカテドラル(大聖堂)・セラーを所有しており、「カネッリ の地下大聖堂」として、ピエモンテのワイン造りの歴史と併せて、ユネスコ世界遺産に登録されています。
ランスやエペルネのシャンパニューの巨大メゾンのセラーと同じような環境で、瓶内二次熟成の環境としては、最高の条件が整っているようです。
コントラット・ミレッジマート・スプマンテ・パドゼ 2014年
[2014] Conrat Millesimato Supmante Metodo Classico Pas dosè
Pas dosè(パ・ドゼ)はドサージュ(補糖)なしの意味です。
シャンパーニュグラスを持って踊る女性の絵が印象的なラベルです。コントラットのすべてのスプマンテに描かれていますが、イタリア人デザイナー、レオネット・カピエッロという画家が1922年にコントラットのためにデザインしたもののようです。

輝きのあるクリームイエロー。最初は、レモン、ライムの柑橘系とミネラル。泡は、細かいが量は多くない。 クリスピーな酸。ドサージュ0だけあって辛口ですっきりした味わいですが、時間がたつと(特に2日目)リンゴやパイナップルの黄色いフルーツや蜂蜜の甘さとふくよかさを感じるようになります。完熟ブドウゆえの果実からの甘みかと思います。中盤からアフターにかけて瓶内熟成(オートリシス)からのブリオッシュやノワゼットの熟成香を少し感じます。通常のスプマンテとは明らかに一線を画す複雑で美味しいスパークリングです。
(3.5)
少し前に、同じコントラットのフォーイングランド パドゼ・ロゼを飲みましたが、こちらの方は終始辛口でした。
スプマンテは、プロセッコやフランチャコルタなども含むイタリアのスパークリングワインの総称ですが、どうしてもピエモンテのスプマンテというと、甘口のアスティを思い出してしまいます。それらとは全く異なるドライなテーストです。
価格的にも3k台と手ごろで、シャンパンに比べてもコストパフォーマンスが高いと思います。
▼裏ラベルの隅に犀(サイ)の絵がありますが、これが、まさにスピネッタ社のバルバレスコの表ラベルに大きく描かれているものです。

▼テット・ド・モワンヌ(Tete de Moine)。スイスのフランスに接するジュラ地方のセミハードチーズチーズで、「修道士の頭」という意味をもちます。
柔らかい外皮があり、熟成が進むと独特な香りが出てきます。

そのままカットして食べると、結構濃厚に感じますが、通常このチーズはジロールという専用の削り器を使用して、花弁のように薄く削って食べます。このような食べ方により、濃厚さはやや薄らぎ、赤でも白でも幅広いワインに合います。
このチーズの優しく感じられる塩味と熟成香に果実の甘味とナッツの複雑さをもつメトド・クラシックのスプマンテがよく合います。

▼タコとモッツアレラのアヒージョです。自家栽培のミニトマトを加えています。ニンニクとオリーブオイルとすっきりとした酸との相性がgoodです。

▼メインは、シャンパンビネガーの鶏煮込みです。らせん状のパスタはシチリアの「ブジアータ」のようです。信濃屋のデリカテッセンです。

決してジャケ買いした訳ではないのですが、食卓を華やかにしてくれるラベルです。
ラベルだけでなく、これはちょっと旨安のスプマンテの印象を覆してくれるスプマンテだと思います。お奨めです!
<了>
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